Dream Theater Official Songwriting Contest

ドリームシアター公式作曲コンテストについて


主旨説明
 アメリカのプログレッシブハードロックのパイオニア的存在のバンド、「ドリームシアター」(以下DT)は、変拍子やテンポチェンジを多用し、1曲10分等が普通にある対策主義なバンドである。そのあまりにも長く複雑な構成の曲をレコーディング、あるいはライブの為に覚える際に「構成チャート」なるもの(いわゆるカンニングペーパーのようなモノ)を毎回作る。
以下の画像は実際彼等が最新作「Train of Thought」のStream of Consciousnessという曲のレコーディングで使用したものである。


 具体的な手法としてはそれぞれのセクションに名前を付け、それのテンポは幾つ、何拍子で何小節あるかなどを記している。
要は本人達が曲の転回を思い出せれば良いので、セクションの名前はキー、コード進行、その部分を彷佛とさせるバンド名等様々だ。

 今回のコンテストは、その新作が発売される前に新曲を一度も聞いた事のないDTファンが構成チャートだけを参考にそれぞれのアイデアで作曲したらどうなるのか?
テクニカルな楽器プレイヤーが多いクレイジーなDTファンはどんな発想をするのか。
そういったDTメンバーの単純な思いつきでコンテストは開かれた。

 この曲はインスト曲なので歌のタイトル、歌詞、メロディー等推測しなければならない不可能なタスクがある程度は減る。
考える必要があるパートはギター、キーボード、ドラム、ベースのみである。

 上記の構成チャートをより解り易く、レコーディング時にミディ・コンダクターに入力したものが以下の画像。






 応募規約は以下の通り。
1. エントリーはすべて、CDあるいはCD-R(カセットまたはDATは×)にて。応募者には返却されない。
2. 〆切りは2003年10月15日(新作発売の約一ヶ月前)。
3. 宛先は:
Dream Theater Songwriting Contest
c/o Ytsejam Records
PO Box 820587
Houston, Texas
77077 USA

 このコンテストが発表されたのが〆切り5、6週間(?)ほど前だったので、事実上我々は1ヶ月程度で作曲、録音をこなさなければならなかった。

 過酷ではあるが、自分のチャレンジになるし、なにより世界で一番尊敬、敬愛するバンドに自分の曲を聴いてもらえるというチャンスはこれ以外無いと思ったので、なんとしても完成させて応募する事を決意した。

原文。
公式サイトのコンテスト主旨説明。
他の応募作品との比較
 入賞者上位7名の作品はのちにファンクラブにて配付される特典CDに収録される予定であるが、まだそのCDは配付されていないので他の入賞者の楽曲は聴く事は出来ない。
しかし、自分のように個人でアップロードして公開している人も多く、いくつかの人はマイク・ポートノイ(DTのドラマー)の公式BBSで公開しあったりしているらしく、いくつかの楽曲は20数曲はMP3にて入手することが出来た。なので下記に全てアップロードした。

 応募者によってそれぞれの解釈が似ていたり、全く違っていたりでとても興味深い。 演奏能力はもちろん、楽曲構成、作曲の水準もとても高い。

応募作品の紹介。

各セクションの推測および比較
 それぞれのセクションにつけられたユニークな名前の由来を推測する。 得に興味深いセクションについては部分的に、

DTのオリジナル曲
自分の楽曲(タイトルはDNA)
他の応募者の楽曲
もととなったであろうアーティストの楽曲

等々と比較してみる。

数字はオリジナル曲のタイム。

00:00Intro guitarギターのみで始まる?アルペジオなのか、歪みなのか?いきなり5/4。
00:20Power chordsギターで良く使う1度と5度のシンプルなコード(必然的にメジャーとマイナーの区別は無い)をパワーコードと呼ぶ。
00:395/8 groove MAIN拍子は5/4なのでドラムのみ5/8で一つのフレーズとして5/8+5/8=5/4(比較的単純なポリリズム)と考えられる。
00:585/8 groove MAIN同じリフで8分のノリから4分のノリに変わる。
01:17JP SECTIONJPというのはDTのギタリスト、ジョンペトルーシだろう。彼がかんがえたフレーズ?もしくは彼のソロ?バックは激しい変拍子の嵐。
01:454/4 groove MAINここでようやく4/4と思いきや拍子記号は4/5のままなのでおそらくドラムのみ4/4(ポリリズム、スリップビートの一種)。奇数の小節と偶数の小節ではアタマとウラが入れ代わる。
02:03Eb evil chordsEvil=邪悪 なにやらダークなコード進行だろうか。ここではじめてキーの指定が登場する。
02:18Eb evil unisonユニゾン。
02:33Eb evil DimeolaDimeola=フュージョンギタリストのアル・ディメオラ。スパニッシュ系のエスニックな音使いや正確な速弾きで有名。
02:49UK riseUK=70年代のプログレバンド。rise=何やらフレーズが駆け上がって行くのか?
03:04Ab breaks (key riff)Break=キメ。key以外はユニゾンでキメ?
03:12Ab drums同じフレーズでドラムが入る。ドラムソロ(フィル)?
03:19Ab pumppump=4/4のどっしりしたビート、ドラムフレーズ。
03:27Ab unisonまたもやユニゾン。
03:35Ab with Bass motionベースが動きのあるフレーズを?
03:50Guitar solo C#mこれは解り易い。しかしバックは5/8 x2, 6/8 x2の繰り返し。
04:12Ab evil transpositiontransposition=移調。先ほどのEbのフレーズをAbに移調?
04:28key solo C#m上のギターソロを同じ構成でキーボードソロ。
04:51Ab evil transposition同上。
05:06Beatles G# to Eビートルズ。
05:14Beatles B to G同上。
05:22Crimson setup (drum bass)Crimson=キングクリムゾン。イギリスのプログレッシブロックの元祖的存在。69年当時、ビートルズのアビーロードを1位から引きずり下ろした事でも有名。テンポが大きく変わった。
05:33Crimson setup bandバンド全体で?
05:44Crimson climbrise同様駆け上がりフレーズ?
05:58Eb JRclimbJR=DTのキーボーディスト、ジョーダン・ルーデス。彼がかんがえたフレーズ?もしくは彼のソロ?
06:04 ~暫くCrimsonとBeatlesとの繰り返し
07:32Power chords/BurtonBurton=元・メタリカの伝説的ベーシスト、クリフ・バートン?1986年バス事故で他界。テンポが元に戻る。
07:42 ~最初の方のセクションのリピート。
08:36Classical section6/4でクラシカルな転回。クリシェ等を多用したコード進行?
09:03Classical keysそれぞれのソロ回しが続く。
09:28Classical guitar
09:54Classical bass
10:19Power chords / synth highシンセが高い音程?
10:35Change to 6 feel6拍子のフィーリングでという意味か?
11:16 おしまい。お疲れさま。



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